翻訳者と辞書
翻訳者として駆け出しのころは、書籍の辞書しかありませんでした。
まもなく電子辞書が発売され、辞書や辞典が数十冊も搭載された電子辞書を買いました。
さらに、英辞郎などのオンライン辞書を使うようになり、他のフリーの和英や英和の辞書がオンラインで見れるようになりました。
辞書の使い分け
翻訳者は、どのようなときに辞書を使うかというと
- 以前に調べたことがある単語の訳を今一度確認する
、 単語の意味を詳しく調べる
- 単語に関連する情報を調べる
- 例文を調べる
など、様々な場合があります。
時間的制約があるために、その単語の情報がどれだけ必要かで使う辞書は異なってきます。
書籍の辞書
まず揃えたのはランダムハウス英和大辞典や研究社大和英辞典でした。
これらの辞書は、単語の情報が詳しく書かれていて、例文も多くあるので、最終的に訳文の裏付けを取るために使っていました。
今では書籍の辞書を使用することはまずないかもしれません。
しかしこれらの大辞典は、なかなか訳文を確定できない時、訳が適正であるかどうか、使い方が間違っていないか、さらには例文を調べる時などに、時間がかかりますが今でも十分役立つと思われます。
最近はスマホにダウンロードしたり、オンラインで利用できるので書籍を買う人はまずおられないでしょうが、大辞典の説明や例文などはとても役に立ちました。
また、専門分野の情報が欲しい時には、各専門の辞典が必要でした。
図書館にあったのは、医学関係の辞書ぐらいだったので、自分の専門外の仕事が来るたびに、紀伊国屋に足を運んで辞典などを買っていました。
ステッドマン医学大辞典、岩波理化学辞典、理工学辞典、コンピュータ用語辞典 英和 和英(Gene Ferber)、生理生化学用語集 (Stenesh)、Basic 英和和英 有機化学用語集、機械用語辞典、特許用語辞典、土木用語辞典 などです。
これらは、オンライン辞書などが普及して以来ほとんど出番がないまま本棚に置かれています。
しかし、これらの専門分野の辞典は、その分野での単語の用法や詳しい説明が書かれているので 翻訳する内容をイメ―ジするには非常に役立ちました。
また、抱えている案件に関する思わぬ情報が得られることがあって、原文の理解に役立ったこともありましたので、もしあれば、活用することをお奨めします。
ふだん仕事に使用していたのは、ジーニアス英和辞典とプログレッシブ和英中辞典で、これらはセミナーなどに行くときに持ち運びに便利で使いやすい辞書でした。
専門分野の単語を調べる時は、リーダーズ英和辞典、リーダーズ・プラス、マクグローヒル科学技術用語大辞典、科学技術25万語大辞典 英和 和英などを使っていました。
そして行き詰った時には、英和・和英 ビジネス技術実用英語大辞典を引くと、実務翻訳に即した訳が載っていて手がかりが得られホッと安堵したものです。
その他の辞書では、
The New Loget’s Thesaurus in Dictionary Form Edited by Norman Lewis American Heritage シソーラス(類語辞典)
Cobuild英英辞典 改訂新版 (桐原書店)
広辞苑、漢和辞典などを揃えていました。
今ではあらゆる情報がインターネットで無料あるいは有償で手に入れることができるようになりましたが、これらの辞典も使用すれば、一味違った訳文になるのではないでしょうか。
よく使っていた書籍の辞書は、装丁もボロボロになるほどで、愛着がありますが、終活を意識し始めてからは、廃紙やいらない文具類が最初のターゲットとなり、そろそろ専門外の辞書も処分しなければならなくなってきたようです。
スッキリ感と寂寥感と・・・これが老後ということなのでしょうか。
コメントを残す