フリーランスの収入はかなり幅が広い
フリーランスの翻訳者の年収がどれくらいなのか知りたいところですね。
しかしフリーランスの翻訳者といっても出版、映像、実務などの分野に分かれていて、各分野の翻訳レートはさまざまです。
またフリーランスという働き方には、個人個人の生き方が強く反映されていて、一日の作業時間も人により異なります。
一日8時間以上翻訳に専念している人と家事や育児・介護などをしながら翻訳に従事している人では、目標とする収入は大きく違ってくるでしょう。
そうしたことが、収入に大きなばらつきが見られる一因なのかもしれません。
フリーランサーの収入は、翻訳量×単価で計算されます。
可能な最大月収は
一日の最大作業量×約25日×翻訳レートで、最大月収を推定することができます。
一日の最大作業量
翻訳の仕事を始める時に、実務翻訳の場合、英訳ではA4(だいたい200 words)で一日10枚、和訳では一日400字10枚の仕事をこなさなければ、翻訳者としてやっていけないと通信講座の先生に言われました。(今と違って以前は仕上がりベースで収入が決まりました。)
400字の日本語を英訳するとだいだい220 wordsになるといわれています。
原文ベースでは、英日で約 1,500 ~2000 words/日、日英で約 3,500文字/日の翻訳を、翻訳作業を終えた後の読み直し・修正時間込みでしなければならない計算になります。
和文英訳と英文和訳の翻訳レート
和文英訳と英文和訳では、翻訳レートが2倍ほど違います。
和文英訳の方がたいていの場合一枚の翻訳にかかる時間が多いのですが、かかった時間と収入を比較すると私の場合は和文英訳の方が時間当たり高い収入を得ていました。
一か月の最大収入
毎日最大のペースで仕事をすることはほとんどないですが、私が最も仕事をした月(最も稼いだ月)で、和文英訳200枚余りでしたので、約200枚×(1900~2400円)* の収入があったと記憶しています。これが一か月で得られる最大収入でした。
* 当時のレート(仕上がりベース)[筆者の知り合いの実務翻訳者(特許、医薬以外)たちから聞いたレート。もっと高いレートで仕事をされている方もおられると思います]
これはあくまで、大量の翻訳が来た時の収入です。
現実は、仕事の依頼は不安定で、依頼される枚数も1枚から数百枚まで様々なので、一日の翻訳量は一定ではありません。
翻訳量が一定でないもう一つの理由は、依頼される案件の内容の難易度がさまざまであることです。
研究論文などは時間がかかり、仕様書、SOP、取扱説明書などは比較的パターン化されているので仕事がはかどる傾向にあります。
また仕様書、SOP、取扱説明書などはCATツールを使用する場合が多く、CATツールを持っていれば、効率化が図られ収入は増大します。
また、同じ案件でも人によって専門分野や得意な分野が異なり、難易度が違うためにフリーランスの翻訳者の月収は不安定です。
翻訳レートは専門分野により異なる
単価(レート)については、翻訳する分野によって異なります。
実務翻訳の場合、医薬と特許の分野の単価が高くなっているので、高い収入を望むのであれば最初からこれらの分野をターゲットにすることをお奨めします。
ただ特許の場合は最初はハードルの低い産業翻訳
で登録して、ある程度基礎ができてから特許に変更することも可能だと思われます。
翻訳レートについては、最初は翻訳会社の提示する額で仕事をしながら、値上げの交渉をするか、翻訳レートの高い翻訳会社にも登録することをお奨めします。
そうすれば翻訳レートの相場もわかり、レートの良い会社の仕事を優先的にこなして、他の会社にレートを上げてもらうよう交渉することができます。
また収入を増加させるためには、作業効率を上げることが必要です。
モニター(PC)を2台設置して翻訳用と辞書検索用に分ける、串刺し検索ソフトを導入する、翻訳支援ツールを導入する、などさまざまな工夫をこらして効率化を図り、収入を増やしましょう。
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